新型コロナ問題への「対応が優れている」という印象構築に成功し、ここへきて支持率を伸ばしているとも伝えられる下司トラは、この勢いを駆って選挙に勝つのだろうか。

一般に天災のたぐいは現職にとって有利に働くことが多いから驚くにはあたいしないが、ほんとにそうなってしまうのか。

これに関してひとつ注目している点がある。

それは経済だ。

新型コロナ禍による景気後退は、リーマンショックなんぞ比べ物にならないほど深刻なものになるだろう。

リーマンのときは「証券が紙くずになった」とか「株価暴落」だとかいって騒いだが、一般庶民は正体不明のマネーゲームがこけたらしいという程度の認識しかなかったと思う。

だが今回は、人の移動とモノの売買の停止によって企業が倒産し、失業者が激増するという目に見える経済崩壊が起きている。潰れなかった企業も、アメリカでは日本とちがって従業員のクビを簡単に切るから、失業率はかなり跳ね上がるだろう。

【追記】3月21日までの1週間に失業保険を申請した人は約330万人。これは過去の最大記録(69.5万人,1982年)の5倍ちかくにのぼる。

【再追記】上記の次の1週間で失業保険の申請者は664万人を超え、過去最大だった前週から倍増した。


またアメリカは個人事業主の割合が高く、荒波に弱いそうした事業者の多くが路頭に迷うはずだ。

失業にまでは至らなくとも、給料カットのせいで生活がたちまち苦しくなる家庭が無数に発生するにちがいなく、たとえ政府から何十万円かの給付金をもらったとしても、2~3ヶ月しかもたないはずだ。

どん底状態は半年どころか1年を超えて続くおそれがある。


そうしたなかでの大統領選はどうなるのか。

アメリカ人が大統領を選ぶ条件は、四捨五入していえば経済に尽きるから、新型コロナによる景気後退と失業率アップがトランプの再選をはばむ可能性はけっこうあるだろう。

いやいやトランピーというのは下司トラの排外主義的な姿勢に強く共感し、下司の言うことを丸呑みするトランプ教徒みたいなもんだから、景気後退ぐらいで離反するものじゃないという意見もあるだろう。

俺もそう思っていたんだが、ちょっと面白い材料を見つけた。

ジョージメイソン大学のジェイソン・ジェスト准教授が、オハイオ州ヤングスタウンという街で「白人労働者階級」の意識調査をしたところ、トランプ支持者の多くは排外的な価値観が希薄だったというのだ。

トランプが移民や外国人を敵視する演説をぶつたび、後ろでニヤニヤしながら聞いている連中は、一から十までトランプと価値観が同じと俺は思い込んでいた。

trump speech

だが実はかれらはトランプ演説のうち経済マター以外の部分は、単なる威勢のいい漫談として楽しんでいるだけなのかもしれない。

だとすれば(ずいぶん大胆なだとすればだが)、この先アメリカ経済が不幸にしてどん底に向かうほどに、トランプがこける可能性が増大するわけだ。


以上のことは、目下の民主党最有力候補バイデンがボケ老人ぽくなってきてトランプと渡り合えるのかどうかが怪しいこと、そもそもこの未曾有の国難にあって説得力ある政策を打ち出せるかどうかについてさして期待できないことなど、さまざまな周辺状況は除外して考えている。

いずれにしてもトランプは、経済がアキレス腱であることはよく承知しているのだろう、4月中旬までに経済活動を再開しないと景気後退が深刻になるとして、国境管理や都市封鎖などの緩和を急ぐ姿勢を見せている。

だが急ぎ過ぎれば取り返しのつかない勢いでパンデミックが加速し、トランプ政権を叩きのめす可能性もある。

いま最優先事項はアメリカと世界の人びとの安心と安全であり、トランプ再選をはばむ事象ならなんでもOKなどとは思っていない。だが、今後数年間に予測される深刻な混乱にむけてトランプを超大国のリーダーの座にとどめておくことは、人類にとってかなり危険なバクチだと考えている。

今年の選挙の重みは「新型コロナ以前」とくらべて数倍増しになっていると思う。


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